仕事や家庭に追われ、落ち着いて本を読む時間はほとんどなかった、という方も多いでしょう。
定年などで時間に余裕ができた時、その「後回しにしてきた楽しみ」を取り戻すチャンスです。
あのとき買ったままの本、気になっていたベストセラー、昔好きだった作家の新作
——ゆっくり腰を据えて向き合いましょう。
目次
読書のメリット
心と頭を元気に保つ
知的好奇心を持つことは老化の防止には必要不可欠。
読書で、記憶力や思考力を保ち、新しい知識の吸収や、時代の変化へ柔軟に対応しやすくなります。
小説で心を揺さぶられたり、歴史書で新しい知識を得たり、エッセイで人生観を広げたり、
読書は知的刺激だけでなく、心を豊かにし、心のリラックス、ストレス軽減などにつながります。
読書で頭をいつも使うようにしていくことが高齢期の生活の質の向上にも重要です。
特に定年後は、日々の生活に新しい刺激が減りがちですが、本がその役割を担ってくれます。
楽しみながら役に立つ読書にもっと浸りましょう。
読書は「会話」のきっかけにもなる
読書は、家族や友人との話題作り、会話のネタになります。
「私はこう感じた」——同じ一冊でも人によって受取り方が違うのも読書の面白さです。
さらに、最近は読書会やオンラインの読書コミュニティも多く、趣味を通じて新しい仲間と出会える場も広がっています。
読書はひとりでできますが、基本的に一方通行。
人との対話を通して感想や情報を共有したり、自分の知らない分野の本を知ることもできます。
オンラインで参加できる読書コミュニティ
「読書メーター」…感想を共有したり、読んだ本の記録ができるSNS
新しい世界を知る
読んだ本に影響を受けて、実際に自分でもやってみたり、そのゆかりの地へ旅行するきっかけとなることもあります。
読書によって、新しいことを始めたり、自分の可能性が拡がったり、それまで考えたことのなかった世界を知るきっかけになったりします。
自分に合ったペースで楽しむ
自分のペースで読んで、楽しむことができます。
最初は、毎日10分から始めたり、就寝前の「読書タイム」をつくったりして、読書習慣をつけていくのもいいと思います。
慣れてくると、カフェや図書館など、お気に入りの場所を見つけて読んでみましょう。
静かなほうが集中できる人もいるし、逆にうるさいほうが集中できる人もいるので、自分に合った場所、環境を見つけましょう。

読書の方法は色々
紙の本のページをめくるだけでなく
電子書籍で読むとか
オーディオブックで耳から楽しむ読書もあります。
どんなスタイルでも、自分に合った方法で気ままに読んでいけばいいのです。
読む本の選び方・ジャンルのヒント

👉 好きなジャンルの名作や有名作家の作品からはじめる
👉 映画化やドラマ化された本を選ぶ
👉 「岩波文庫の100冊」など、古今東西のさまざまな分野の本を紹介する冊子から選ぶ
👉 ネットのレビュー・書評をなどをネタバレにならない程度に確認する
👉「書店のコーナー」や「新聞・雑誌の書評」を参考にする
👉 読み直す。一度読んだはずなのに新しい発見があり本のよさを再び知ることができる
👉 図書館を利用する
書評などをきっかけに読みたい本があれば、
図書館のホームページで検索して予約して借りることができますが、待ち時間はかかります。
図書館にない本もリクエストすると入手してくれる可能性があります。

実際に読み始めてみて「なんか違うな」と感じたら、無理せずを変える勇気も必要です。
見切りをつけて次の本を手に取ってみましょう。
本は読んでみないと分からないものですが、定年後など時間のある時だからこそ片っ端からチャレンジできます。
読書をより楽しむために

読書の栄養を吸収するにはアウトプットが重要になります。
1冊読み終えたら、必ず、あらすじや感じたことなどを読書ノートやパソコンに記録しましょう。頭が整理でき、本の理解が深まります。
また、本で学んだ内容を実際に行動してみることで、自分の物にすることができるし、新しい自分に気づく事もあります。
ビブリオバトル(※)や読書会があれば、参加して人にアウトプットし、人との対話を通して感想や情報を共有したり、自分の知らない分野の本を知ることができ、自分の読書にいっそう深みと広がりが持てるようになります。
※ビブリオバトルは、誰でも開催できる本の紹介コミュニケーションゲームです。
「人を通して本を知る。本を通して人を知る」をキャッチコピーに全国に広がり、小中高校、大学、一般企業の研修・勉強会、図書館、書店、サークル、カフェ、家族の団欒などで、広く活用されています!(出典)知的書評合戦ビブリオバトル公式サイト

三体

私が出会ったお気に入りを紹介します。
これまで無縁だったSF(サイエンスフィクション)でしたが、題名の不思議さ
と世界的ベストセラーになっていると聞いていて、気になっていた本でした。
『三体』は、世界的に有名なSF賞であるヒューゴー賞を、2015年にアジア人作家として初めて受賞したのがきっかけとなり、ふだんSFを読まない人まで含めた世界的な人気作品となりました。
文化大革命で科学者の父を殺されるなど、人類に絶望した女性が最初の主人公となる第一部から、
Ⅱで地球人類全体の物語へとなり、Ⅲで最終的に地球と宇宙の行く末まで描かれます。
『三体』(第1部)
第一部はすべてのはじまり、人類がはじめて地球外の生命体と遭遇する物語。
中国の文化大革命※で科学者の父を殺されるなど人類に絶望した女性主人公と、
男性主人公がたどり着くVR(仮想現実)ゲームを中心に展開されていきます。
地球外生命体は、地球に大艦隊を送り込みますが、地球に到達するのは450年後という
大きなスケールで、しかも文学的にもすばらしい魅力があります。
※文化大革命(1966年〜1976年)とは
毛沢東らに扇動され、その思想に共鳴した「紅衛兵」(こうえいへい)と呼ばれる若者たちが、暴動を起こして学校、伝統文化や多くの知識人を暴力的に迫害、リンチするなどした思想・政治改革運動。
『三体』Ⅱ 黒暗森林
続くⅡは、地球人類が、地球外生命体よりもはるかに劣る科学技術で対抗する
頭脳バトル、SFミステリーでもあります。
第1部の女性主人公から、Ⅱの主人公へ「宇宙の公理」が引き継がれます。
物語は楽観と絶望、予想外の展開は誰も予想できないのではないかと思います。
しかも、最後の結末は鮮やかです。
三体(第一部)と三体Ⅱ(上下巻)の3冊セットはこちら
『三体』Ⅲ 死神永生
最後のⅢは、地球人類と地球外生命体との戦いの結末、さらに、宇宙の行く末です。
Ⅲの女性主人公とその元同級生の波乱万丈の物語。
地球人類の本性、愚かさ、そして地球と人類は救われるのか。
3部作で最も、本来のSFらしい作品と言われています。
三体(第一部)と三体Ⅱ(上下巻)、三体Ⅲ(上下巻)の全5冊セットはこちら
📝まとめ

読書は、自分の教養を深める「学び」と、
純粋に読んで、面白かった、感動したと思える「エンターテインメント」としての魅力があります。
特に、定年後などは、読書が、日々の生活に新しい刺激や彩りをそえてくれます。
膨大な本の中から、自分の好きなジャンルや、そのジャンルの名作、有名作家の作品、たまたま目に入った気になる本など、何でもいいから取りかかってみましょう。

膨大な本の中から、自分の好きなジャンルや、そのジャンルの名作、有名作家の作品、たまたま目に入った気になる本など、何でもいいから取りかかって
お気に入りの本と出会い、人生の新しい楽しみを広げていきましょう。
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